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お茶コラム『朝茶はその日の難逃れ』 No.137

名残り

名残り

皆さん、こんにちは。店舗販売課の糟谷です。
秋らしくなってきました。先日、店頭のディスプレイも鮮やかな秋色に衣替えしました。
 
通常、新茶と言えば5月~6月ですが、茶道では11月が新茶時期。
春に採れた新茶を茶壺に詰めて半年寝かせ、11月に初めて茶壺の封を切ります。
そして夏の間使っていた風炉を仕舞い、炉に変えて行なうのが「口切りの茶事」。
この茶道でのいわゆる新茶行事の直前、10月は「名残り」を惜しむ季節です。
 
このため10月のお茶会は、普段とはちょっと違った趣向で、とてもおもしろいです。
床の間にはあえて虫食いの茶花を飾り、上部が欠けた「やつれ風炉」に、注ぎ口のような飾りの付いた一風変わった「片口茶碗」、少々ひび割れた茶碗まで登場します。
こんな茶器、普段でしたら絶対にお客さまには出せませんよね。
 
紅葉や柿など、季節の茶道具を取り揃えるのは当たり前。
もう一歩踏み込んで、あえて風変わりなものや壊れかけた茶道具を使うことで、その完璧でない姿に「名残りのやつれ感」を見て、「侘び」を楽しむ。
うーん、実に奥深いおもてなしですね。
 
秋はお茶が最も美味しい季節。
摘みたての新鮮な香りはありませんが、この時期までじっくり熟成されたお茶は、なんといっても旨みがたっぷりです。

ちょっと欠けてしまったけれど捨てられずにいた、お気に入りの茶碗や湯呑みは今がまさに使い時。
「名残りの趣向で、秋の新茶を味わう我が家流のお茶会」を楽しんでみてはいかがでしょうか。